【危険情報】
レバノン
●北レバノン県(バトルーン郡を除く)、ベカー県、ナバティエ県、南レバノン県、各地のパレスチナ難民キャンプ:「渡航の延期をお勧めします。」(一部引き上げ)
●上記以外の地域(首都ベイルートを含む):「渡航の是非を検討してください。(継続)
☆詳細については、下記の内容をよくお読みください。
1.概況
(1)2011年3月に始まった隣国シリアでの騒乱はレバノンにおいても政治・治安の面に大きな影響を及ぼしており、シリア政権支持派とこれに対抗するシリア反体制支持派の対立が続いています。2013年に入り、レバノンのシーア派民兵組織ヒズボラはシリア政権を擁護し、シリアでの戦闘に参加していることを表明したことから、レバノン国内では、スンニ派とシーア派の対立が緊張を高めています。
(2)2013年5月以来、シリア情勢の波及により発生したロケット弾爆弾や自動車爆弾によるテロ事件が数回発生しており、2013年8月にはイスラエル北部に向けてロケット弾が発射される事件及びイスラエルによる報復攻撃も発生しました。
(3)政治情勢については、2013年3月、ミーカーティー首相が辞任を表明して以来、新内閣の組閣作業に進展はなく、レバノン政情に不安定化をもたらしています。
2.地域情勢
(1)北レバノン県(バトルーン郡を除く):「渡航の延期をお勧めします。」(一部引き上げ)
北レバノン県のシリアとの国境地帯には、シリア情勢の影響を受け2011年5月以降、数十万人のシリア人が流入し、避難生活を続けています。これらの難民の数が急激に増加したために、地元住民との間で緊張が生じるケースが起きています。
また、北レバノン県の中心都市であるトリポリ市のバーブ・タッバーナ地区とジャベル・モフセン地区において、住民によるけん銃等や手りゅう弾等の投てきによる衝突事件が散発的に発生しており、2013年5月に発生した事件では300人以上の死傷者や建物等への被害が出ています。また、同年8月、トリポリ市内の道路上で自動車爆弾によるテロ事件が発生し、死者は少なくとも45人、負傷者は500人以上に上ると報道されました。
その他、レバノン当局による武装集団の摘発が多数報告されるなど、同地域の治安が悪化していることから、シリア国境付近における危険情報(「渡航の延期をお勧めします。」)を維持するとともに、バトルーン郡を除く北レバノン県の危険情報を「渡航の是非を検討してください。」から「渡航の延期をお勧めします。」に引き上げます。」
(2)ベカー県:「渡航の延期をお勧めします。」(継続)
ベカー県東部のシリアとの国境地帯は、当局の国境管理が十分に行き届いておらず、麻薬密輸組織や車両窃盗団等の活動場所になっているほか、パレスチナ武装勢力の軍事キャンプも所在し、外国人観光客がこのような場所に立ち入ると密輸やスパイ容疑の疑い等で拘束される場合もあります。また、ベカー県南西部山岳地帯には、ヒズボラ等の武装勢力が訓練等で展開している可能性があり、不用意に小道や山林地帯に立ち入るとトラブルに巻き込まれる危険性があります。
シリアとの国境マスナアに近いマジュディル・アンジャルでは、多数の武器弾薬がレバノン治安当局によって押収されているほか、2013年7月にはヒズボラが乗車していると見られる車列に対する自動車爆弾テロ事件が発生しました。その他、富裕層を対象とした高額な身代金を要求する誘拐事件や個人間の揉め事から銃撃戦に発展し死傷者が出る事件等が多数発生しています。
(3)ナバティエ県、南レバノン県:「渡航の延期をお勧めします。」(一部引き上げ)
同地域では、国連レバノン暫定軍(UNIFIL)が展開して平和維持活動を行っていますが、スンニ派過激派の活動や対イスラエル関係により高い緊張状態が続いており、治安は不安定です。
2013年6月、サイダ市において、シリア情勢を背景としたスンニ派指導者とレバノン国軍の銃撃戦により少なくとも18人が死亡するなど、シリア情勢に影響された銃撃事件やテロが今後も発生する可能性が排除できません。
そのほか、2013年8月、南レバノン県スール郡からイスラエル北部に向けてロケット爆弾が発射される事件が発生しています。
また、同地域には多数の不発クラスター弾や地雷が残存しており、不審物に不用意に近づいた住民らが被害に遭っています。
なお、レバノン国軍は、許可証のない外国人(観光を含む)のリタニ川以南への通行を禁止しており、許可証を所持しないままリタニ川以南に渡航した者は、レバノン国軍により拘束される可能性があります。
ついては、リタニ川以南であるハスバイヤ郡、マルジャユーン郡、ビントジュベイル郡、ティール郡に対する危険情報(「渡航の延期をお勧めします。」)を維持するとともに、サイダ郡、ジェッズッィーン郡を含む南レバノン県及びナバティエ郡を含むナバティエ県の危険情報を「渡航の是非を検討してください。」から「渡航の延期をお勧めします。」に引き上げます。
(4)各地のパレスチナ難民キャンプ:「渡航の延期をお勧めします。」(継続)
パレスチナ難民キャンプには、レバノン治安当局の力が及んでいないこともあり、発砲事件等が散発しています。難民キャンプ内には指名手配中のテロリストが多数潜伏していると見られており、実際にテロを計画していたグループが摘発されています。難民キャンプにおける事件は、隣接地域に影響を及ぼすことがあるため、大規模な難民キャンプ(南レバノン県サイダ市郊外や北レバノン県トリポリ市郊外など)の周辺地域は特に注意が必要です。
ついては、北レバノン県(バトルーン群を除く)、ベカー県、ナバティエ県、南レバノン県、各地のパレスチナ難民キャンプへの渡航は目的を問わず延期してください。
(5)上記以外の地域(首都ベイルートを含む):「渡航の是非を検討してください。」(継続)
ア 2013年3月、ミーカーティー首相の辞任発表後も組閣作業は難航し、政治的な緊張状態が続いています。ベイルート市内でも、些細な争いが銃撃戦に発展する事案が発生しています。こうした情勢のなか、シリア情勢の影響等もあり、事態が急速に悪化する可能性が排除されません。情勢が悪化した場合、国外に退避する手段が著しく制限される可能性があります。
イ ベイルート南郊外では、公的な権限を有しない者により外国人が尋問を受けたり、身柄を拘束されたりする事件が起きています。また同地区では、2013年5月、ロケット弾が着弾し4人が負傷したほか、同年7月及び8月には自動車爆弾テロが発生し、多数が負傷しました。
ウ 山岳レバノン県ナアメ村には、パレスチナ武装勢力の軍事キャンプが所在し、これまでにイスラエル軍の空爆の対象となっており、2013年8月にも空爆されました。付近では銃撃戦も発生しています。
エ 政治的なイベントの際、政党支持者らが銃器を上空に向けて撃つ慣行も続いており、死傷者が出ています。また、市内に武器がまん延しているため、些細なトラブルが原因で銃撃戦に発展する危険もあります。
オ ベイルートなどの都市部において、「セルビス」と呼ばれる乗り合いタクシーで乗客となった外国人が、運転手あるいは乗客による強盗の被害にあう事件が発生しています。
ついては、首都ベイルートを含むこれら地域に渡航・滞在する方は、渡航の是非を含め自らの安全について慎重に検討し、渡航・滞在される場合には、今後の情勢の推移に十分な注意を払うとともに、外務省、在レバノン日本国大使館、報道等から最新の関連情報を収集した上で、不測の事態に巻き込まれないよう、引き続き十分な安全対策を講じてください。
3.滞在に当たっての注意
滞在中は下記事項に十分留意して行動し、自ら危険を避けるようにしてください。また、外務省、在レバノン日本国大使館、現地関係機関等より最新情報を入手するよう努めてください。
(1)レバノン滞在中は、国内情勢のみならずパレスチナ情勢、シリア情勢など中東情勢全般に注意しつつ、治安情勢の推移に十分留意してください。
(2)大規模なデモや集会が行われる場所(首都ベイルート市内ダウンタウン地区の殉教者広場、首相府・国連ESCWAビル周辺、政府機関、国会、政党関連施設、各国大使館、国際機関関連施設、国立博物館、主要大学周辺等)やレバノン治安関係機関施設、UNIFIL関連施設等への不要不急な訪問は避けてください。訪問する必要がある場合には、不測の事態を避けるため、周囲の状況に注意してください。
(3)レバノンでは、政府関連施設、軍事施設及び軍人等の写真撮影は厳しく制限されています。許可無く撮影した場合、拘束される可能性があります。写真撮影の際は上記施設等が被写体にならないよう十分注意してください。
(4)外出中に不測の事態が発生した場合には、自宅や職場又は滞在中のホテル等、連絡手段の確保しやすい場所に速やかに戻るとともに、関連情報の収集に努め、事態が沈静化するまで待機するなど、自らの安全確保に努めてください。
(5)地雷原表示や不発クラスター弾表示がある場所はもとより、観光施設や道路、居住地等から離れた山林、野原等には立ち入らないでください。また、不用意に不審な金属物等には近づいたり手を触れたりしないでください。
(6)パスポートにイスラエルの査証や出入国スタンプが押されている場合には、入国を拒否されるので注意してください。また、ヨルダン・イスラエル国境にあるヨルダン側出入国事務所の出入国スタンプがある場合、実際にイスラエルに入国していなくても、イスラエルに出入国したとみなされ、入国を拒否される可能性もあります。また、旅行者が何らかの事件・事故に巻き込まれた場合など、警察官からパスポートや所持品等を検査されることがあります。イスラエルへの入国を疑われるものが所持品の中に見つかった場合には、拘束され取調を受ける可能性もあります。
(7)やむを得ない事情により、「渡航の延期をお勧めします。」の地域に滞在されている方は、平素から在レバノン日本国大使館と緊密に連絡を取ってください。また、不測の事態に備え、食料、飲料水を備蓄し、パスポート、貴重品、衣類等をいつでも持ち出せるように準備しておくとともに、退避手段についても常時確認しておいてください。
(8)現地に3か月以上滞在される方は、緊急時の連絡等に必要なため、到着後遅滞なく在レバノン日本国大使館に「在留届」を提出してください。また、届出事項に変更が生じたとき又はレバノンから去る(一時的な旅行を除く。)ときは、その旨を届け出てください。なお、在留届は、在留届電子届出システム( http://www.ezairyu.mofa.go.jp/ )による登録をお勧めします。また、郵送、FAXによっても行うことがでるので、在レバノン日本国大使館まで送付してください。
4.隣国のシリア、イスラエルに対しても、別途危険情報が発出されています。これらの情報の内容にも留意してください。
(問い合わせ窓口)
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902
(外務省関連課室連絡先)
○外務省領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2306
○外務省領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)
電話:(代表)03-3580-3311(内線)3399
○外務省 海外安全ホームページ:http://www.anzen.mofa.go.jp/
http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp (携帯版)
(現地大使館連絡先)
○在レバノン日本国大使館
住所:Serail Hill Area、Army Street、Zokak El-Blat、 Beirut、Lebanon (P.O. Box 11-3360)
電話:市外局番(01) 989751~3
国外からは(国番号961)-1-989751~3
領事班直通:(01)989856
国外からは(国番号 961)-989856
FAX:市外局番(01) 989754
国外からは(国番号961)-1-989754
ホームページ:http://www.lb.emb-japan.go.jp/index_jp.htm