感染症広域情報
MERSコロナウイルスによる感染症の発生(ラクダとの接触は避けてください)(その88)
○本情報の発出対象国:サウジアラビア、アラブ首長国連合(UAE)、カタール、オマーン、ヨルダン、イラン、クウェート、レバノン、イエメン、バーレーン
○その87からの主な変更点
・世界全体の感染者等の数(以下1.(1))
・サウジアラビアにおける新規感染者の報告(以下1.(3))
【ポイント】
●中東呼吸器症候群(MERS)は、主に中東地域で発生しています。感染源動物とされるラクダとの接触や、ラクダの未加熱肉や未殺菌乳の摂取は避けるようにしてください。
●感染した人との濃厚接触による感染(飛沫感染,接触感染)も報告されています。咳やくしゃみの症状があり、感染が疑われる患者との接触も避けるようにしてください。
1.中東呼吸器症候群(MERS)の発生状況
(1)2012年9月以降、サウジアラビアをはじめとする中東地域を中心に、中東呼吸器症候群(MERS:マーズ)の感染者の発生が引き続き報告されています。世界保健機関(WHO)の発表によれば、これまでに累計で1,806人の確定感染者数と、このうち少なくとも643人の関連死亡者数が報告されています。2015年には、韓国等の一部アジア地域でも中東訪問歴のある人に発症例(輸入症例)が確認されましたが、感染例及び関連死亡例の多くは中東で発生しています。中東地域に渡航・滞在される方は、特に、ウイルスの保有宿主(感染源動物)とされるラクダとの接触や、ラクダの未加熱肉や未殺菌乳の摂取は避けるなど、以下2.(2)及び(3)の予防策を参考に感染予防に努め、十分注意してください。
(2)2015年9月2日に開催された国際保健規則(IHR)緊急委員会第10回会議において、同委員会は、MERSの現在の流行状況は、依然として「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態(PHEIC)」には該当しないとしていますが、更なる流行に対して強い警戒を有していると述べています。
(3)WHO等によれば、中東地域では、2013年以降、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、オマーン、ヨルダン、レバノン、イエメン、クウェート、イラン及びバーレーンでMERS感染例が報告されています。また、サウジアラビア保健省によれば、9月5日から9月17日までの間に、同国では、新規感染者4人が確認され、これまでの感染者数の累計が1,452人(うち死亡者数613人)になったとのことです。
2.MERSコロナウイルス感染について
(1)一般的にコロナウイルスは飛沫感染や接触感染で伝播し、風邪などの一般的症状を引き起こすほか、下痢などの消化器症状も報告されています。また、重傷の場合には呼吸不全を起こすこともあります。報告されたMERS患者の致死率は約36%とされています。
現在、WHOや関係各国は、MERSコロナウイルスの感染経路や臨床経過等について、調査を進めています。
(2)コロナウイルスに対する一般的な具体的予防策は以下のとおりです。
●休息、栄養を十分に取り、体に抵抗力をつける。
●手指等の衛生保持に心掛ける。
●咳やくしゃみの症状がある患者とは、可能な限り濃厚接触を避ける。
●温度の変化と乾燥しすぎに注意する。
●高熱、咳、呼吸困難等の症状が見られた時は、適切なタイミングで専門医の診断を受ける。
(3)MERSコロナウイルスの特徴及び上記に追加する具体的予防策は以下のとおりです。
●感染者の約15%が医療従事者であり、救急外来での院内感染が問題となっているため、自宅療養が可能な場合は救急外来の受診を控える。
●50歳以上の高齢者や慢性疾患(糖尿病、高血圧、喘息、腎障害、心疾患、呼吸器疾患等)を持っている人が感染した場合は重症化するリスクが高く、注意する。
●特に中東地域では、感染源である可能性が高いラクダとの接触を避ける。ラクダは威嚇行動でつばを吐くことがあるので、不用意な接近は避ける。また、ラクダの未加熱肉や未殺菌乳の摂取は厳につつしむ。
(4)日本の厚生労働省は、MERS流行国から帰国された方に空港等の検疫所で、発熱や咳などの呼吸器症状があるか、MERSが疑われる患者又はラクダと接触した可能性がある場合は、必ず、検疫官に申し出るよう呼びかけています。その際、中東諸国のMERS流行国で、患者やラクダと接触した方がいた場合、その方は最大14日間検疫所に毎日体温等の健康状態を報告する健康監視の対象になります。
(参考)旅行者に配付しているMERSの注意喚起のリーフレット
http://www.forth.go.jp/news/150924_MERS_haji.pdf
(参考)厚生労働省HP(中東呼吸器症候群(MERS)について)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/mers.html
また、厚生労働省では、引き続きサウジアラビア・アラブ首長国連邦など、MERS流行国から帰国後2週間以内に、発熱や咳などの呼吸器症状がみられた場合には、直ちに最寄りの保健所に電話で連絡するようお願いしています。
MERSコロナウイルス感染症は、発症前の潜伏期間では、感染する可能性が非常に低いとされています。発症直後の迅速かつ適切な対応が、治療及び感染拡大防止に不可欠ですので、ご協力よろしくお願いします。
○参考情報
国立感染症研究所感染症情報センター:MERS(マーズ)コロナウイルス(MERS-CoV)
http://www.nih.go.jp/niid/ja/component/content/article/2186-infectious-diseases/disease-based/ka/hcov-emc/idsc/2686-novelcorona2012.html
FORTH:中東に渡航する方へ <中東呼吸器症候群に関する注意>
http://www.forth.go.jp/news/2015/09241603.html
WHO:Global Alert and Response/ Coronavirus infections(英文)
http://www.who.int/csr/disease/coronavirus_infections/en/
3.在留届及び「たびレジ」への登録のお願い
海外渡航前には、万一に備え、家族や友人、職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。3か月以上滞在する方は、緊急事態に備え、必ず在留届を提出してください。
(http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/todoke/zairyu/index.html )
また、3か月未満の旅行や出張などの際には、海外滞在中も安全に関する情報を随時受けとれるよう、外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。
(詳細はhttps://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/# 参照)
(問い合わせ窓口)
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903
(外務省関連課室連絡先)
○外務省領事局政策課(海外医療情報)
電話:(代表)03-3580-3311(内線)5367
○外務省 海外安全ホームページ: http://www.anzen.mofa.go.jp/
(携帯版) http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp
(現地在外公館連絡先)
○在レバノン日本国大使館
住所:Serail Hill Area、 Army Street、 Zokak El-Blat、 Beirut、 Lebanon. (P.O. Box 11-3360)
電話:01-989751~3
国外からは(国番号961)-1-989751~3
領事直通電話:01-989856
国外からは(国番号961)-1-989856
FAX: 01-989754
国外からは(国番号961)-1-989754
ホームページ:http://www.lb.emb-japan.go.jp/index_jp.htm