安全対策情報(平成28年4月~6月期)
1.治安情勢
(1)最近のテロ情勢
レバノンにおけるテロの発生件数は減少傾向にありますが、世界各地でシリア情勢の影響を受けたテロ事件(ISILやその共鳴者によるものなど)が発生しており、シリアと直接国境を接するレバノンにもテロリストが侵入、潜伏している可能性は否定できないため、引き続き警戒が必要です。最近治安機関がベイルートを含む各地でレストランやカジノ等のソフトターゲットに対するテロを計画していたイスラム過激派グループを検挙したとも伝えられています。テロが何時どこで発生するかを予想することは難しいですが、不特定多数の人が集まり警備対策が不十分な繁華街や商業地区(特に外国人が集まる場所)、治安機関、教会やモスク、ベイルートにおいては特に南郊外(空港寄りのダーヒヤ地区)などがテロの標的となる可能性が考えられます。レバノン滞在中は治安情勢に関するニュースや周囲の状況に注意を払い、危険と思われる場所はできるだけ避け、不審な人物や状況を察知したら速やかにその場を離れる等、安全の確保に十分注意を払ってください。
平成28年4月から6月の間の主な事件は以下の通り。
● レバノン南部サイダ郡にあるアイン・ヘルワ・パレスチナ難民キャンプ入口付近において特定の人物を狙ったと思われる爆弾テロが発生し、1名が死亡,一般市民を含む数名が負傷した。
● ベイルート市内ヴェルダン地区であらかじめ設置してあった爆弾が爆発し、数名が負傷した。
● バールベック・ヘルメル県シリア国境付近にある町アル・カーアにおいて、計8名の実行犯による連続自爆テロにより市民5名が死亡、国軍兵士を含む20名以上が負傷した。
(2)誘拐・脅迫事件発生傾向
レバノンにおける誘拐事件の多くは金銭目的で、これまでのところ主な誘拐対象はレバノン人やシリア人の富裕層ですが、ISIL等の過激派による誘拐事件も潜在的な危険として注意する必要があります。誘拐事件の多くはバールベック・ヘルメル県内で発生しています。犯行グループは事前に被害者の行動を入念に調べた上で犯行に及ぶことが多いため、外出の際には時間や通り道を特定せずなるべく頻繁に変え、周囲の様子に不審な動きはないか気を配るなど、安全対策に十分に心掛けてください。
●空港からベイルート市内へタクシーを利用して移動していた外国人が乗車したタクシー運転手によりバールベック・ヘルメル県の誘拐グループに引き渡された。犯人らは被害者家族に対し身代金を要求したが、被害者は後に自力で脱出に成功した。
●バールベック・ヘルメル県内でレバノン人男性が何者かに誘拐された。犯人らは被害者
を数時間拘束した後、現金を強奪し解放した。
●山岳レバノン県ハルデにおいて身代金目的の幼児誘拐事件が発生した。犯人らは誘拐後、幼児の両親に対し身代金を要求した(その後の状況は不詳)。
(3)一般犯罪・凶悪犯罪傾向
日本人が一般犯罪に巻き込また事例は報告されていませんが、スリ、ひったくり、強盗等の一般犯罪は恒常的に発生しています。特にバイクを使用したひったくりには注意が必要です。また、レバノンでは内戦以来隠匿された銃器等が一般に広く存在しており、犯罪集団絡みや些細なトラブルなどが原因で発砲事件等に発展する場合があります。
期間中の主の事件は以下のとおり。
● 山岳レバノン県のナハル・エル・モットのショッピングモール付近においてレバノン治安機関と薬物密売人との間で銃撃戦が発生し、容疑者らの車両に同乗していた女性が死亡した。
● 山岳レバノン県のブルジュ・ハンムードにある銀行において武装した男性らによる強盗事件が発生し、犯人らは現金を強奪後逃走した。
● ベイルート市南郊のビール・ハサンにおいてタクシーに乗車していた男性が銃を空に向け発射している男性らの姿を撮影しようとしたところ、撮影に気づいた男性らに銃撃された。これによりタクシーに乗車していた男性の内1名が重傷を負った。
● ベイルート南郊外のダーヒヤ地区において犯罪集団間の銃撃戦が発生し、少なくとも1名が負傷した。
2 対日感情及び日本企業の安全に関わる諸問題
レバノンでは特に反日的な傾向は見られず、一般的には対日感情は良好です。期間中、日本企業が対象となった事件等も確認されていません。