安全対策情報(平成28年10月~12月期)

 

1.治安情勢
(1)最近のテロ情勢
レバノンにおけるテロの発生件数は減少傾向にありますが、世界各地でシリア情勢の影響も受けたテロ事件(ISILやその共鳴者によるものなど)が発生しており、シリアと直接国境を接するレバノンにもテロリストが侵入、潜伏している可能性は否定できません。また、また、治安機関がベイルートを含む各地でテロを計画していたイスラム過激派を検挙したとも伝えられており、警戒が必要です。不特定多数の人が集まり警備対策が不十分な繁華街や商業・遊興施設(特に外国人が集まる場所)、治安機関、教会やモスク、ベイルートにおいては特に南郊外(空港寄りのダーヒヤ地区)などがテロの標的となる可能性が考えられます。レバノン滞在中は治安情勢に関するニュースや周囲の状況に注意を払い、危険と思われる場所はできるだけ避け、不審な人物や状況を察知したら速やかにその場を離れる等、安全の確保に十分注意を払ってください。

期間中の主な事件は以下のとおり。
●レバノン北東部バールベック市アル・アイン地区において,走行中のミニバスが爆発し,乗車していた同地区の副地区長が死亡し,1名が重傷を負い付近の病院に救急搬送された。

 

(2)誘拐・脅迫事件発生傾向
レバノンにおける誘拐事件の多くは金銭目的で、これまでのところ主な誘拐対象はレバノン人やシリア人の富裕層ですが、ISIL等の過激派による誘拐事件も潜在的な危険として注意する必要があると考えられます。誘拐事件の多くはバールベック・ヘルメル県内で発生しています。犯行グループは事前に被害者の行動を入念に調べた上で犯行に及ぶことが多いため、外出の際には時間や通り道を特定せずなるべく頻繁に変え、周囲の様子に不審な動きはないか気を配るなど、安全対策に十分に心掛けてください。
期間中の主な事件は以下のとおり。
●山岳レバノン県のソファーにおいてレバノン人1名が誘拐された。後日バールベック・ヘルメル県において親族らが用意した身代金と引き替えに解放された。
●バールベック・ヘルメル県のクシャルナバにおいてシリア人1名が何者かに誘拐された。同人は数週間誘拐犯に監禁された後、ベカー県において親族の用意した身代金と引き替えに解放された。
●軍情報部はベカー県において、誘拐犯とされるレバノン人1名及びシリア人1名を逮捕した。犯人らは身代金目的のためシリア人男性1名を監禁していた

 

(3)一般犯罪・凶悪犯罪傾向

日本人が一般犯罪に巻き込まれた事例は報告されていませんが、スリ、ひったくり、強盗等

の一般犯罪は恒常的に発生しています。特にバイクを使用したひったくりには注意が必要です。また、レバノンでは内戦以来隠匿された銃器等が一般に広く存在しており、犯罪集団絡みや些細なトラブルなどが原因で発砲事件等に発展する場合があります。
期間中の主な事件は以下のとおり。
● ベイルート南郊外のブルジュ・ブラジネ近郊において不良グループ間の諍いを原因とする銃撃戦が発生、同銃撃戦により1名が死亡、数名が負傷した。
● 国家警察軍は山岳レバノン県シン・エル・フィルにおいて強盗を行っていた男性3名を逮捕した。同人らはタクシー運転手を装い、乗客を脅して現金を強奪していた。
● アッカール県のベイノ付近において同地域を車両で走行中の女性が同地域の道路を封鎖していた武装集団に遭遇、犯人らより現金及び乗車していた車両を強奪された。

●ベイルート南郊のダーヒヤ地区において不良グループ間の諍いを発端とする銃撃戦が発生し、流れ弾により同地区に住む男性1名が死亡した。

 

2 対日感情及び日本企業の安全に関わる諸問題
レバノンでは特に反日的な傾向は見られず、一般的には対日感情は良好です。期間中、日本企業が対象となった事件等も確認されていません。